ホーム > 特捜最前線 > 特捜最前線U >
2009-01-28:初稿

殺人メロディーを聴く犬! その12

1月29日(木)
特捜最前線 195話 「殺人メロディーを聴く犬!」 その12

 
第67、録音スタジオ・副調室  
    新人歌手のレコーディングに立会う吉辺。
叶のN 「作曲家吉辺丈二。 一年前までは鳴かず飛ばずだったが、昨年二月に発売した“夜明けのデュエット”以来、別人のように頭角を現したいまや当代一の売れッ子である」
    吉辺、尊大にあれこれと指示して怒鳴りまくっている。
    弟子の一人が入って来て、廊下に客が来ていることを告げ名刺を渡す。

第68、同 ・ 廊下 
    名刺を持った吉辺が来る。 誰も居ない。
    すると、どこからかあのギターソロが聞こえて来る。
    吉辺、ギクリとなる。
吉辺  「! ・・・・・・・(恐怖に近い)」
    ゆっくりと音源に近づく。
    ドアを開けたままの一室 ───── その中で、テープを聞いている叶。
吉辺  「・・・・・・・・」

第69、同 ・ 一室
    吉辺、入って来る。
叶   「やァ、特命課の叶です」
吉辺  「(不快)・・・・・・・テープを止めてくれませんか」
叶   「あ、失礼。(止める)やはり不愉快ですか、彼のギターを聞くのは」
吉辺  「彼?・・・・・・・待って下さい。 誰のことです」
叶   「このギターの主ですよ・・・・・(またテープを回す)この曲の実の作曲者でもある訳ですが」
吉辺  「君、失敬なことは云わんでくれ。 これは“星と涙の谷間”という私の新曲だ」
叶   「原題は“星空で涙を”というらしいんですがね」
吉辺  「君・・・・・・・!」
叶   「あなたはこの男からオリジナル曲を買っていた。 いくらかの金を払い、自分の曲として世に送り出した。“夜明けのデュエット”以来です。 彼の方は、あなたから貰った金でお袋さんの入院費を返している」
    吉辺、冷笑する。
吉辺  「藪から棒に妙なことを云い出す人だ」
叶   「覚えがない・・・・・?」
吉辺  「むろんだ。 私は自分で作った曲しか発表せん!」
叶   「・・・・・(立上る)残念です。ここまでは認めていただけるかと思った。別に殺シのことまでは云ってないんですから」
    帰りかけるが、振返る。
叶   「犬は・・・・・・お好きですか?」
吉辺  「・・・・・・・」
叶   「犬はお好きですか?」
吉辺  「興味はない。 好きでも嫌いでもない」
    叶、 一礼して、去る。
吉辺  「・・・・・・・(不安を打消す)」

第70、中島動物病院・犬舎  (夜)
    点滴を受けたままぐったりとしている鉄太郎。
    その前にじッと座っている叶。
叶   「・・・・・・・犯人は分ったんだよ鉄太郎」
    鉄太郎には返事をする力もない。
叶   「だが証拠がない・・・・・揺さぶりはかけて来たんだが、どこまで効果があるか」
    叶はむしろ自分に語りかけている。
叶   「せめてお前が元気だったら・・・・・お前ならあいつが分るだろうにな・・・・・」
    そッと中島が入って来る。
    叶と並んで鉄太郎を見る。
中島  「かなり衰弱しています・・・・・お気の毒ですが、長くもっても、あと二、三日・・・・・」
叶   「・・・・・・・」
    鉄太郎、薄く目をあいているものの、叶を見る気力さえないようだ。

第71、空 地 (早朝) 
    鉄太郎が居たガラクタの前に立つ叶。
叶のN 「鉄太郎は、ここから正確に吉辺丈二の家の方向をめざしている」
    イメージ。 臭いを辿る鉄太郎。
    叶、ゆっくりと歩いて考える。
叶のN 「単なる偶然か。それとも何らかの根拠があってのことか・・・・・私が餌を持ってここへ来た朝、鉄太郎に何かがあったのか?」

    −続く−

タイトル  
お名前  
email  
ご感想  
ご確認  上記内容で送信する(要チェック

 


ホーム > 特捜最前線 > 特捜最前線U > 殺人メロディーを聴く犬! その12